日経記事の違和感
先日、日本経済新聞にこんな記事が出ていた。
タイで開かれた国際モーターショーの主催者は、予約台数が13万2951台だったと発表。前年と比べて72%増。
中国のBYDが2年連続で最多の予約台数を獲得し、トヨタが続いた。
上位10ブランドのうち8ブランドを中国勢が占めた。
これを見て、正直こう思った。
「いや、タイって日本車シェア7割じゃなかった?」
実際、タイの自動車市場は長年、日本メーカーが圧倒的な存在感を持っている。
それなのに、この数字を見る限りでは、中国メーカーが完全に主役に見える。
この違和感の正体は何か。
これは「市場シェア」ではない
まず結論から言うと、この数字は市場シェアではない。
記事で出ているのはあくまで
👉 モーターショー期間中の「予約台数」
つまり、
- 日本車7割 → タイ全体の年間販売シェア
- 記事の数字 → モーターショーという“特殊な場”での受注
👉 母集団がまったく違う
ここを混同すると、一気に見誤る。
モーターショーは「EVの戦場」
今回のモーターショーの本質はここにある。
👉 EV(電気自動車)の販促イベント化
背景には、
- 燃料価格の上昇
- タイ政府のEV推進政策
- 補助金・税優遇
がある。
そして、この波に最も乗っているのが
BYDなどの中国メーカーだ。
売り方がまったく違う
ここが一番重要なポイント。
中国メーカー(EV)
- モーターショーで一気に売る
- 大幅値引き・特典
- その場で契約させる導線
日本メーカー
- ディーラーで安定販売
- ブランド力で自然に売れる
- ショーに依存しない
👉 戦い方が違う
だから、同じ土俵で比較するのがそもそもズレている。
日本車は「ショーで買う必要がない」
日本車は
- 信頼性が高い
- ディーラー網が充実
- 中古市場も強い
つまり、
👉 わざわざモーターショーで契約する必要がない
一方で中国EVは、
👉 イベントで一気に売らないといけない
この差が、そのまま数字に出ている。
そもそも客層も違う
さらに言うと、モーターショーに来る人の属性も偏っている。
- 新しいもの好き
- EVに興味あり
- 都市部・若年層
👉 つまり、中国EVと相性のいい客層
逆に、日本車ユーザー(ファミリー層・地方層)は
必ずしもショーに来ない。
セグメント自体が違う
ここも見落とされがちだが重要。
- 日本車 → ピックアップ、エコカー、ハイブリッド(生活車)
- 中国車 → EV中心(新興・都市型)
👉 そもそも同じ市場を取り合っていない
だから、「中国が日本を駆逐している」と単純に言うのは早計。
見えている世界がすべてではない
今回の話は、ビジネス全般にも通じる。
- SNSで目立っている会社
- イベントで話題のブランド
- 一時的に数字が伸びているプレイヤー
これらは必ずしも、
👉 市場全体で勝っているとは限らない
むしろ、
👉 “どの土俵で戦っているか”を見ないと判断を誤る
まとめ
今回の違和感の正体はシンプルだ。
- モーターショー → EVメーカーが勝ちやすい舞台
- タイ市場全体 → 依然として日本車が強い
👉 数字は正しいが、見方を間違えると本質を外す
こういう“数字のトリック”に気づけるかどうかで、
ビジネスの見え方は大きく変わると思う。

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