バンコクモーターショーで見えた「自動車勢力図の現在地」
2026年3月29日(土)、バンコク国際モーターショーに行ってきた。
結論から言うと、ここは単なる展示会ではなく、
「日本 vs 中国」の最前線だった。
■ 日本 vs 中国、主戦場は完全にタイ
会場を一歩歩けばすぐ分かる。
存在感を放っていたのは、日本メーカーと中国メーカー。
特に中国勢は、
EVを軸に一気に攻勢をかけている。
ただし面白いのは、その“濃淡”。
- BYD:巨大ブース+圧倒的人だかり
- その他の新興EVメーカー:正直、まだまばら
つまり、「中国勢が強い」というよりは
BYDが一歩抜けている状態という印象だった。
しかもBYDは高級路線というより、
完全に大衆車を取りにきている。
これは東南アジア戦略としてかなり合理的なのかも。
■ 日本メーカー、まだまだ強い
一方、日本勢。
まず感じたのは、
「全然負けてない」ということ。
- トヨタ:相変わらずの安定人気
- ホンダ:想像以上の人だかり
特にホンダは印象的だった。
巨額損失のニュース(EV投資の減損)が出ていたので
多少勢いが落ちているかと思いきや、全く逆。
ブースはかなり混雑していた。
しかもモデルが10人近く並ぶなど、
「見せ方」でしっかり盛り上げている。
つまりこれは、
👉 EV投資では苦戦
👉 でも既存のブランド力・販売力は健在
という構図が見える。
■ テスラは“別枠の人気”
そして忘れてはいけないのが
テスラ。
ここもかなり人が多かった。
BYDが「価格」で攻めるのに対して、
テスラは完全に「ブランド」で勝負している印象。
■ 韓国・アメリカは存在感薄め
韓国車はほぼ
ヒュンダイのみ。
アメリカも
フォードとテスラ程度。
正直、東南アジアでは
日中に比べて影が薄い。
■ タイに「自国メーカー」は存在しないのか?
会場を見ていて一番違和感があったのがこれ。
👉 タイメーカーが見当たらない
調べてみると、タイには本格的な自動車メーカーはほぼ存在しない。
タイは長年、
- 外資メーカーの工場
- 労働力の供給拠点
として発展してきた。
つまり、
👉 「作る国」ではあるが
👉 「ブランドを持つ国」ではない
これ、中国と真逆。
中国は強引でも自国メーカーを育てたが、
タイはそこをやってこなかった。
結果として今、
👉 EV時代においても主導権は握れていない
これは典型的な
中所得国のワナの一例だと感じた。
タイはもう少ししたたかに、外国から技術移転なりさせて自国メーカーを育てるべきだったのでは…
■ タイ人はなぜ車を買えるのか
もう一つ気になったのが、
👉 「よくこんな高い車買えるな」
という点。
タイは平均所得がそこまで高いわけではない。
それでも車は普通に売れている。
背景としてよく言われるのが、
- 貯蓄より消費志向
- ローン活用が一般的
ただ、ここで疑問が残る。
👉 消費が強いならもっと経済成長してもよさそうでは?
実際にはそうなっていない。
つまり、
👉 消費しているが、構造的な生産性が上がっていない
ここもタイ経済の難しさ。
少子化もかなり進んでいるという。先進国にならずに少子高齢化社会に突入するという、これも前代未聞の国なのかも。
■ 渋滞地獄と自動車社会の矛盾
そしてリアルな話。
👉 とにかく渋滞がひどい
今回も車で行ったが、
想定の3倍、1時間半かかった。
正直、
- ドライブが楽しい環境ではない
- なのに車は売れる
この矛盾。
これは、
👉 公共交通の未整備
👉 車が「必需品」
という事情なのかな?
自分だったら絶対に車は持たず徒歩か電車、車を使うならライドシェアを続けるな~
■ EVブームは続くのか?
タイでEVが伸びてきた背景には、
政府の補助金があった。
しかしその補助金は、
👉 縮小 or 終了の可能性
となると、
- 日本車(ハイブリッド含む)が巻き返すのか
- それともEVはそのまま定着するのか
さらに、
👉 中東情勢(例:イラン・イスラエル情勢)による燃料不安
これがEV需要を後押しする可能性もある。
■ まとめ
今回のモーターショーは、
- 日本 vs 中国の構図が明確
- ただし中国=BYD一強に近い
- 日本メーカーはまだまだ強い
- タイは“市場”&“輸出拠点”であって“プレイヤーではない”
というのが一番の気づきだった。
そして何より感じたのは、
👉 自動車産業は「国力そのもの」
ということ。
単なる車の展示会ではなく、
国家戦略のぶつかり合いを見ている感覚だった。

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